社会保険の盲点

社会保険の盲点

役員の傷病手当金

健康保険制度で医療機関に保険証を提示して給付を受ける療養関係の給付や出産一時金、出産手当金については一般的に知られていますが、この傷病手当金の詳細な取扱いについてはあまり一般的に知られていないようです。

傷病手当金

業務外の病気やケガで4日以上、労務不能になった場合に健康保険から生活保障を受けることができる制度です。
給与の60%が支給されます。

さらに盲点となっていることは、役員であっても対象になる場合があるということです。
社会保険事務所は役員に関しては役員報酬が定期的に支払われていると考えているようで、役員の傷病手当金を渋ることが多いのが現状ですが、取締役会議事録で役員報酬の停止を決議することによって可能になります。なおこの場合には専門的な交渉が必要となる場合がありますので、その場合社会保険労務士や弁護士に依頼する必要があります。

例えば、月額の役員報酬が100万円の方であれば、月約60万円もの傷病手当金が、最大で1年6ヶ月も支給されます。最大受給したとして1,080万円もの支給となるわけです。さらに、これは、通常の生命保険のように入院している必要はありません。医師が、働けないと認めていれば自宅療養でも支給されます。また、病気や怪我の種類は基本的に問いません(業務上の怪我は×です)。そのため、うつ病などの精神疾患の場合でも、支給されます。精神疾患の場合、通常、入院することはまれですから、一般の生命保険では給付がおりることはほとんどありません。しかし、傷病手当金は、医師が働くことが困難であると認めた場合には、例え月1回の通院しかしていない場合でも、支給されます。

これらのことを考えると、一般の生命保険と比べても相当、給付が手厚いと言えます。

まだ、社会保険に加入されて見えない方は、是非、検討してみてください。

役員が仕事中にケガをしたとき

保険制度の盲点として業務上であれば労災、業務外であれば健康保険というすみ分けができています。

ただし労災の対象にならない法人の代表者など役員はどのようになるのでしょうか?
これは「制度の谷間」と呼ばれ、おそろしいことに救済措置がありません。極端なことを言えば、もし、これら
の者が業務上災害にあった場合に、すべて自腹で療養をしなければいけないということになります。

以前、業務上による事故により入院した社長が治療費や入院費用だけで数百万円かかったという事例がありました。ただし現在の最新の通達では被保険者が5人以下の事業所に限っては、健康保険での治療を例外的に認めるということになっています。しかし、現実には社会保険事務所によっても対応が異なるなど厳しい制度であると言わざるを得ません。法人の役員の対策としては、やはり万が一に備えて労災保険の特別加入制度を利用することが必要となります。

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